この頃のロス(と言っても郊外だが)は、紳士のスポーツとは
かけ離れた着のみ着のままの格好でゴルフ場に向かい、
予約なしで安くショートコースを回る事が出来た。
そのようなコースは、手入れも悪かったが、そういう大衆化
されたゴルフも許されていいと思う。
大したショットでも無いのに、接待ゴルフで三人揃って
「ナイッショ」と言ったり、構えてから打つまでが長くて、
見ているこっちが酸欠で気絶しそうになるようなゴルフは、
紳士のスポーツとは言い難い。
ともかく、スコアを気にするでもなく、でもたまにパーを取ると
やっぱり嬉しい。
そんなゴルフを数か月やっていた。
週末の気晴らし以外の何物でも無く、従って上達の意欲も
失せていた。
当然、打ちっぱなしにも行かない。
日中は暑いとは言っても、冬になってまでゴルフをやる熱意は無く、
一時中断。
翌二月にニュー・ジャージー州へ転勤となった。
ロスの陽気ですっかりだらけきっていたが、失っていた
情熱が再燃焼するのは、意外と早かった。
そう、きっかけと目標が必要なだけだったのである。